2014年 02月 01日
2014年2.3月号 613号 |
「天皇制問題を考える」2・11集会 40回を迎えて
思想・信教の自由が捻じ曲げられないために 会員 中村紀子
なぜ名古屋YWCAは「天皇制問題を考える」2・11集会を39年間も続けているのでしょうか。昨年末の安倍首相の靖国神社公式参拝が内外から問題視されていることがその遠因であろうと思います。アジア太平洋戦争の戦争責任の総括が日本人としてきちんとなされないままきているからと言ってもよいと思うのです。
40年前の1964年頃から政府自民党では靖国神社国家護持に関する議論がされ始めました。この頃私はYWCA新人スタッフの仕事として靖国神社国家護持問題についての展示を担当したことを記憶しています。これは靖国神社を政府の管理下におき、政府が英霊を慰める儀式を行い、その人事は国が関与し、経費の一部を国が補助するというものです。この法案は何回か国会に提出されながらも成立せず、衆議院で可決されても参議院で否決されたりしていました。YWCAも他のキリスト教団体と共に法案に反対の声明や署名活動をしたものでした。しかし、政府は1966年に2月11日を建国記念日とすることを決めました。2月11日は旧憲法下では紀元節といって神話を根拠として全体主義的天皇制が大手を振っていた時代の影を見る思いが強く、靖国神社国家護持法案との関連もあり疑問を呈するものでした。
アジア太平洋戦争時、神社は国家神道として機能し「靖国であおう」と多くの青年を戦場に送ってきたことを思い起こさせます。靖国神社は宗教ではなく特別に扱われていたことでも明らかなように、政教分離の原則に反し、信教の自由を犯すものであります。このような背景に危機感をもって日本YWCAの全国総会(1968年)では、強調点のひとつとして「思想、信教の自由を守る」ことを決めました。この方針を名古屋YWCAは主体的に受け止め2月11日を有意義にいかそうと2・11集会を会員デーのひとつに位置づけました。1975年に第1回(近代日本と天皇制・鈴木正氏講演)が始り、会員活動から一般市民にも公開された形が定着しました。1983年までは久野収氏、自衛官護国神社合祀拒否訴訟を起こした中谷康子さん他の講演を毎年聞き、1984年に10年間のまとめとして、『天皇制問題を問う2・11集会講演集』を出版しました。1984年以後はアジア・沖縄の視点を押えて平良修氏、李恢成氏らを迎え、又新進気鋭の羮尚中氏、小森陽一氏、渡邉治氏らの協力も得ました。女性の視点を意識して加納実紀代さん、若尾典子さん増田れい子さんもお願いしました。「自分の言葉で話そう」と天皇制を生活の中から考えようと身近な助言者との会を持ったこともあります。1980年に続いて1993年に加納実紀代さんの講演では『「慰安婦」問題そのかくも長き不在』として「性の二重規範」に迫ったことは、金学順さんが「慰安婦」とされた被害者であると名乗り出るのと相前後して、先駆的であったと思います。
今日問題になっている国会議員らの靖国公式参拝は信教の自由の点からの問題があること、アジアの国からの批判は太平洋戦争のA級戦犯14人が1978年に合祀されてしまったことによるものです。また靖国神社にはかって日本の植民地だった韓国・台湾の人たちも合祀されていることも思いおこさねばなりません。
40年経ても2・11集会を閉じるわけにはいかない理由は以上のような背景があります。また、天皇制は私たち日本人に様々な課題を与えます。自民党の改正憲法案で天皇を国家元首に位置づけようとしています。今の象徴天皇制との違いを考えなければなりません。また、「内なる天皇制」という考え方もあります。日本人の心に潜む「内なる天皇制」とはなんでしょうか。昨年園遊会で山本太郎議員が天皇に直訴の手紙を渡したことで話題になった背景でもあると思います。「天皇制」はその時代の権力に利用されて来た歴史があります。民主主義と主権在民そして「天皇制」は矛盾なくいけるものでしょうか。その歴史を学びながら発信していく使命が私たちにはあるのではないかと思います。
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名古屋YWCA: 名古屋市中区新栄町2-3 ℡:052-961-7707
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思想・信教の自由が捻じ曲げられないために 会員 中村紀子
なぜ名古屋YWCAは「天皇制問題を考える」2・11集会を39年間も続けているのでしょうか。昨年末の安倍首相の靖国神社公式参拝が内外から問題視されていることがその遠因であろうと思います。アジア太平洋戦争の戦争責任の総括が日本人としてきちんとなされないままきているからと言ってもよいと思うのです。
40年前の1964年頃から政府自民党では靖国神社国家護持に関する議論がされ始めました。この頃私はYWCA新人スタッフの仕事として靖国神社国家護持問題についての展示を担当したことを記憶しています。これは靖国神社を政府の管理下におき、政府が英霊を慰める儀式を行い、その人事は国が関与し、経費の一部を国が補助するというものです。この法案は何回か国会に提出されながらも成立せず、衆議院で可決されても参議院で否決されたりしていました。YWCAも他のキリスト教団体と共に法案に反対の声明や署名活動をしたものでした。しかし、政府は1966年に2月11日を建国記念日とすることを決めました。2月11日は旧憲法下では紀元節といって神話を根拠として全体主義的天皇制が大手を振っていた時代の影を見る思いが強く、靖国神社国家護持法案との関連もあり疑問を呈するものでした。
アジア太平洋戦争時、神社は国家神道として機能し「靖国であおう」と多くの青年を戦場に送ってきたことを思い起こさせます。靖国神社は宗教ではなく特別に扱われていたことでも明らかなように、政教分離の原則に反し、信教の自由を犯すものであります。このような背景に危機感をもって日本YWCAの全国総会(1968年)では、強調点のひとつとして「思想、信教の自由を守る」ことを決めました。この方針を名古屋YWCAは主体的に受け止め2月11日を有意義にいかそうと2・11集会を会員デーのひとつに位置づけました。1975年に第1回(近代日本と天皇制・鈴木正氏講演)が始り、会員活動から一般市民にも公開された形が定着しました。1983年までは久野収氏、自衛官護国神社合祀拒否訴訟を起こした中谷康子さん他の講演を毎年聞き、1984年に10年間のまとめとして、『天皇制問題を問う2・11集会講演集』を出版しました。1984年以後はアジア・沖縄の視点を押えて平良修氏、李恢成氏らを迎え、又新進気鋭の羮尚中氏、小森陽一氏、渡邉治氏らの協力も得ました。女性の視点を意識して加納実紀代さん、若尾典子さん増田れい子さんもお願いしました。「自分の言葉で話そう」と天皇制を生活の中から考えようと身近な助言者との会を持ったこともあります。1980年に続いて1993年に加納実紀代さんの講演では『「慰安婦」問題そのかくも長き不在』として「性の二重規範」に迫ったことは、金学順さんが「慰安婦」とされた被害者であると名乗り出るのと相前後して、先駆的であったと思います。
今日問題になっている国会議員らの靖国公式参拝は信教の自由の点からの問題があること、アジアの国からの批判は太平洋戦争のA級戦犯14人が1978年に合祀されてしまったことによるものです。また靖国神社にはかって日本の植民地だった韓国・台湾の人たちも合祀されていることも思いおこさねばなりません。
40年経ても2・11集会を閉じるわけにはいかない理由は以上のような背景があります。また、天皇制は私たち日本人に様々な課題を与えます。自民党の改正憲法案で天皇を国家元首に位置づけようとしています。今の象徴天皇制との違いを考えなければなりません。また、「内なる天皇制」という考え方もあります。日本人の心に潜む「内なる天皇制」とはなんでしょうか。昨年園遊会で山本太郎議員が天皇に直訴の手紙を渡したことで話題になった背景でもあると思います。「天皇制」はその時代の権力に利用されて来た歴史があります。民主主義と主権在民そして「天皇制」は矛盾なくいけるものでしょうか。その歴史を学びながら発信していく使命が私たちにはあるのではないかと思います。
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名古屋YWCA: 名古屋市中区新栄町2-3 ℡:052-961-7707
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by nagoya_y_koho
| 2014-02-01 15:22